route 1


2000年2月28日。
無謀にも名古屋・東京間を原付で駆け抜けた男がいた。
テントと地図を背中に積み、冬真っ只中の国道1号線を愛車YB−1が爆走する!

1st run 2月28日(月)名古屋〜豊橋 88.5km

 今思えば、どう考えても無謀極まりなかった。中型二輪に乗っている友人に前々から「原付で長距離は無理」と言われつづけていたのが悔しかったからかもしれない。東京に親友のサイキックが住んでいるからかもしれない。それとも、思い立ったのが大学1年の、冬休み前の1月だったからなのかもしれない。
 だが、思い立ったが吉日! とにかくすぐにでも実行するためには冬休みのこの日しかなかったわけだ。こうして、バイト先に一週間の暇を貰い、自前の野営装備を荷台に積んで意気揚揚と走り出したのだ。時刻は13時22分。
 ここから、あの辛く長い旅が始まったわけだ。

depearture

 別の友人の住む豊橋へは、以前に2回くらい行った事があったから、道のりも気楽なもんだった。何より初めての一人旅ってことで、テンションも上がっていたからかもしれない。取りあえず大曽根でガソリンを満タンに入れてトロトロと走り出したのであった。

 国道1号線は、オレの住む街から近いところを走っている。10分くらいして1号線の軌道上に乗れば、あとは豊橋まで一直線だ。
 一時間ほど進むと、桶狭間という案内板があった。日本史には明るくないが、かの今川義元が敗れた地で有名な場所だったか? なにぶん一人旅、気兼ねする連れは誰もいない。興味がある場所は全て回ってやる、と早速その古戦場跡へと向かった。
 しかし着いた先は小さな公園。昔の地図がかかれた看板と今川公の墓石が無ければ何の変哲も無い公園だった。なんだ、つまらん。でもこの地面の上を、400年以上も昔にたくさんの武士達が刀を持って戦いあったって考えるとちょっと感動を覚えたりする。

okehazama war

 名古屋市を抜け、旅は順調に進む。次なる目的地は決まっていた。バイト先の知り合いがいる、BOOKOFF安城店だ。桶狭間を出て一時間ほどで、大して迷うこともなく到着した。久しぶりに会った友人としばし語らう。
 その友人とも別れを告げてさらに旅は進んだ。ようやく豊橋市内に入ったときは、辺りが薄暗くなり始めたときだった。とにかくひたすら寒いので、地図を確認がてら目の前にあったマックに入り腹ごしらえをする。繁華街に入ると道が少し複雑になるので、対策が必要だった。
 自慢じゃないが、極度の方向音痴なのである。同じ道でも、1度や2度くらい通ったことのある程度では、とても覚えられないのだ……。
 我ながら、これでよく東京を目指すとか言えるもんだ。まぁ1号線に沿っていけば着くことは間違いないとはいえ。

 初日は本当に何事もなく、バーン宅に到着したのは18時20分だった。うぅむ、あまりに順調過ぎる。こんなんでいいのだろうか……。 ただ、扉を開けたときのバーンの第一声「オス、まぁ入れよ」が少しだけ気になった。80kmの道のりを越えて会いに来たってのに、あまりにそっけなさすぎやしないか? まぁこちらが勝手にテンション高いだけなのかもしれないけど。

come in!

 というわけで、あとはガストで夕飯を食べて、軽く酒とつまみで盛り上がってから寝た。明日は目標7時半に起床だから、あまり飲み過ぎて夜更かしもできない。もっといろいろ話したかったけど、まだまだ東京まで先は長いのだ!


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