route 1


2000年2月28日。
無謀にも名古屋・東京間を原付で駆け抜けた男がいた。
テントと地図を背中に積み、冬真っ只中の国道1号線を愛車YB-1が爆走する!

2nd run 2月29日(火)豊橋~富士 191.8km

 翌朝は目標の7時半にちゃんと起きることが出来た。昨夜は本当は騒ぎたかったんだけど、これからの行程を考えると、もし二日酔いにでもなったら目も当てられない。
 朝飯もほどほどに、荷造りを始め、8時20分にバーンに別れを告げて再び旅立った!

 豊橋が愛知県でもずっと南にあることは知っていたが、30分も走らないうちにとてつもないことに出会った。まさか、こんなに早く海に着くなんて!
 一度はバーンの家に寄る為に道を外れたが、再び国道1号線に合流、携帯していた地図もすでに「愛知」から「静岡」に変わっている。どうやらここは潮見坂というあたりらしい。とにかく高架道路に乗ってトンネルを抜けたら、そこは海だったのだ! まさに絶景!
 しかし、高架道路もトンネルも、原付では初の経験なのでコワイコワイ。トンネルは視界が急に真っ暗になるし、高架なんて原付は一番左を走るから、もう壁すれすれ! ちょっと左を向けば遥か先に地面が見える!
 その恐怖も海に着いた途端忘れて、思わず原付を止めて砂浜を走り回ってしまった。散歩に来ていた犬とジャレあったりしてなかなか楽しかったなぁ。

Benten-jima

 さらにそこから少し進むと、うわさに聞く弁天島に到着した。海のど真ん中に立っている鳥居は、思わずカメラを向けずにはいられない。
 この辺りは、地図で見ると「浜名バイパス」というのが浜名湖の入り口を横断して一直線に抜けることができるんだけど、残念ながら自動車専用。おまけに有料道路。オレみたいな原付乗りはおとなしく遠回りせよ、ってことらしいね。
 さて、浜名湖を抜けると、うなぎで有名な浜松市に到着した。ホントはここでうなぎを買って、夕飯に食べようと思ってたのに、海と浜名湖で感動しててすっかり忘れてしまった……。まぁ順調に磐田、袋井(ここが帰りにお世話になる)と抜け、掛川市内のコンビニで一休み。まだ昼前である。

stone road in Kanaya

 15kmほど走って金谷という町に着くと、なにやら面白そうな看板を発見! 「旧東海道石畳跡」。これは行ってみるしかない。
 日本史には詳しくないが、東海道の金谷宿というところらしい。当時の石畳の道が残っている。別に偲ぶ昔もないけど、入り口周辺を少し歩いて江戸時代の気分を味わった。しかもまさに寄ってくれといわんばかりに一軒の茶屋がある。ちょうど昼時だったので、縁側に席をとっておソバを頂いた。石畳、縁側、おソバ。このシチュエーションでは激うまです。

Japanese soba-noodle

 さらに進むこと40km。静岡市の入り口辺りでついに来ました! 日本一の山「富士山」!!
 まさに雄大、超感動!!
 高揚した気持ちのなか静岡駅に着くと、かの有名な登呂遺跡が近くにあるという。八百屋のおじさんとかに散々道を聞いて迷ったあげくにやっと到着したのだが、竪穴式住居とかは別にそんなに見ていて楽しいものでもなかった。ま、こういうこともあるでしょ。

Mt.Fujiyama!

 さて、16時近くにもなると、さすがにそろそろ本日の宿泊地を探さなくてはいけない。もちろん後ろに積んだ邪魔なくらい大きな荷物のほとんどはキャンプ用具なわけで、当然二日目の今日はキャンプするってことに決めていた。さいわいここは富士山付近、キャンプするところには困らないはずだ。国道1号をのんびり進むと「道の駅富士」を発見、早速情報収集に降り立った。
 そこで貰った地図を見ていると、1号線をずっといかずに県道24号線を北(富士山)に向かって行っても、御殿場を通って箱根に入り1号線に合流できる。しかも途中にキャンプ場もあり、うってつけだった。
 というわけで、早速「丸火自然公園」に予約の電話するが、どうやらもう管理人は帰ってしまったらしい。しかし、管理している大本の役所からは、翌朝に料金を払えばいいよ、ということで了承を得て、好きなところにテントを張っても言いと言われた。

 道の駅を出てそのキャンプ場へ向かうのだが、24号線というのはひたすら上り坂でスピードが出ない。しかもお得意の方向音痴が炸裂して道に迷ってしまった! 17時を回るとだんだん辺りも薄暗くなってきて、しかも道はどんどん山奥に入っていく。場所は富士だし、青木ヶ原の樹海を想像してかなりの不安に陥る中、ようやくキャンプ場に到着した。ふぅ……。

camping alone

 時期が時期なだけに、広いキャンプ場も誰もいなくて貸し切り状態! 適当にバイクを止めて早速テントを設営した。最初は一人でキャンプということでドキドキしていたが、ようやく心も収まり薪拾いをしてご飯を作ろうとする。しかし……ひとりで飯ごうすいさんはかなり寂しいことに気が付いてしまう。しかたなくお湯だけ沸かして紅茶を作り、持ってきたハムをかじりながら飢えをしのぐ形になってしまった……。
 日もとっぷり暮れると、森の中は想像以上に寒くなる。しかもこのテント! 実はよく確かめずに持ってきてしまったのだが、これはテントではなかった。ツェルトという、非常用時に露営するための簡易テント(雨が凌げる程度)だったのだ! こんな薄っぺらな生地一枚じゃぜんぜんあったかくないっ! 床もないし! エアマットと寝袋にくるまり、寒さに震えながら21時には寝る準備に入っていた。
 しかしここに来て、携帯電話にメールのラッシュ! みんな、心配してくれるのは嬉しいけど、やっとうとうとし始めるときに着信音が鳴るのには困ったよ……。しかし「今ドコ走ってる?」って22時過ぎに入れた人、そんな時間じゃドコも走ってないよ……


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